アニメーション提示は幼児の文章理解を促進するか?

平成16年1月

角   薫 (独立行政法人 情報通信研究機構)
長田 瑞穂 (十文字学園女子大学 幼児教育学科)
田中 克己 (京都大学 大学院情報学研究科)

 

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私どもは現在、デジタルコンテンツの理解の支援に関する研究を行っております。ホームページなどに代表されるデジタルコンテンツを人々がより良く理解するためには、どのような援助が可能かということを検討しております。その一環として、今回、5歳児を対象に、情報をどのような形で示すのが内容についての幼児の記憶や理解を最も促すのか、ということを調査いたしました。
方法としては、園児さんに音声と共にモニターに写されるアニメ・絵本状の静止画・無関係の背景画のいずれかの映像を見ていただき、その後、音声によって示された内容についての記憶や理解を質問いたしました。音声情報としては、テディベアの名前の由来についての一説(以後「テディベア」)と、M社が事故を隠蔽したというニュース(以後「M社の事故隠し」)の2種類を使いました。
その結果、以下のことが明らかになりました。

(1)内容の記憶
音声で示された情報の内容についての記録は、アニメとともに音声が示された場合と、絵本状の静止画とともに音声が示された場合が、無関係の背景がとともに音声が示される場合よりも良いことが示されました。特に「テディベア」では内容の記録は、アニメと共に音声を聞いた場合が最もよく、ついで絵本状の静止画とともに聞いた場合が良く、無関係の背景画と共に聞いた場合が最も記憶が良くないことがわかりました。

(2)内容の理解
(2-1)難しい語彙の理解
「拒む」「欠陥」というような難しい語彙の理解は、アニメと共に音声が示された場合が、無関係の背景画と共に音声が示される場合よりも良いことが示されました(図1)。特に「テディベア」ではアニメと共に音声が示された場合において、絵本状の静止画と共に音声が示された場合や、無関係の背景画と共に音声が示される場合よりも難しい語彙の理解が良いことが示されました(図2)
(2-2)内容についての深い理解
音声で示された内容情報について、深く理解していなければ回答できないような質問をし、理解の深さを検討しました。その結果、アニメと共に音声が示された場合と絵本状の静止画と共に音声が示された場合が、無関係の背景画と共に音声が示される場合よりも良いことが示されました(図3)


図1 難しい語彙の理解(全体)

図2 難しい語彙の理解(内容別)

図3 内容の深い理解

これらの結果から、アニメと共に音声が示された場合には、内容の記憶や難しい語彙の理解が助けられるという効果があることが明らかになりました。
今後、さらに調査を進め、大人から子供までの多くの人々がデジタルコンテンツを楽しく有効に活用するためにはどのような支援が可能かということを明らかにしていきたいと考えています。




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