俳句・短歌 平成21年の作品

平成21年
薫藤園ご利用者・ご家族、職員の俳句・短歌作品です。
(順不同・敬称略)

平成21年秋~冬の作品

読初や金と銀とのしをりひも
ふるさとの田畑平らに初景色
くれなゐの鯛を釣り上げ初神楽
          柴崎加代子

裸木となり電飾をほどこされ
奈良漬に箸を休めて女正月
石庭に万両の朱の灯りけり
          今成公江

初詣で兄にもらいし金時計
年明けて空を仰げばあらたなり
          速水 浩
去年今年薫藤園の水仙花
秋の草つんではなげて散歩する
からっ風さくら葉みんなふきとばす
          吉田きみ

わが句帳とて黴させず四十年
たたみ来る漣匂う沼の冬
こうこう残月の煌々として師走かな
着ぶくれてたまに俳句を詠む生活
          岡田サク子

香りたつ小さき花の冬水仙
花の名は皇帝ダリヤ空に咲く
飾りつけ願いを込めしクリスマス
          小林芳雄
ぬくもりの残る手袋玄関に
手をかざす笑顔のかこむ焚火かな
ポケットに手袋しまふ手の白く
          掛谷弘史

痛み去り正座のうれし初鏡
一年を思ひ新たに煤払う
ひい孫を抱く師走の窓あかり
          野村節子
湯たんぽのぬくもり運ぶ寮母さん
 幼き頃の母のたち来る

介護されかすみてのぞむ山なみの
 彼方の里に思いつのりて

澄みし朝羽ばたき巣立つ小雀の
 手すりにちちとあどけなく鳴く
          尾谷スミヱ

平成21年夏~秋の作品

藍がめに秋七草のあふれけり
人の世に天網ひろげ鰯雲
飛行機の灯もその中に星月夜
          柴崎加代子

ひっそりと住める人ありよしず立て
ほのぼのと紅さす風情萩つみ
静かにも人待つそぶり萩の花
          吉田きみ

ようやくに夕風立ちし残暑かな
夏座敷松をぬけ来し風涼し
秋茄子の輝く色でありにけり
          岡田サク子
夏祭り歌に踊に寸劇あり
青田見て子供の頃を思い出す
          速水 浩

曽孫の生まれし便り風薫る
天ぷらの衣透かして茄子の紺
鉢のまま垣朝顔となりにけり
          岡田サク子

貰い手のはやついてゐる大根蒔く
ことのほかひびきて今朝の銃
海原のごとくにうねる稲田な
          今成公江
吸般を窓に透かして雨蛙
光見て音も楽しき花火かな
稲光りあとに轟く地鳴りかな
          掛谷弘史

噴水を仰ぐ少女や車椅子
夏帽子貸農園へペダル踏む
しなやかに折れて繁吹くや大噴水
          古山清美

秋ドラマ天地人の里人集う
道奥の名殺巡る秋初め
古の名君宿る林泉寺
          川邉義雄
送られしマフラーぬくし誕生日
 嬉しくもあり淋しくもある
          吉田きみ

あいさつの元気な声の介護士さん
 目覚めて今日のパワーいただく
花は散りやがて実のなる屋敷林
 囲みし青田に初夏の陽まぶし
          尾谷スミヱ

賑わうる薫藤園の夏祭り
  職員の寸劇美事なり
特老に棲む我に楽しみ二つあり
  唄と寮母の明るい笑顔
食前の薬手渡す寮母さん
  そのやさしさの心うれしき
          平山富治
雪渓に花園ありと聞かされて
 元気なうちに吾も行きたし

健康は歩いて保つと決意して
 稲の花咲く夕の道行く

もぎたての庭のいちじく携えて
 友はほほ笑む入院の吾に

孫と子の笑顔に痛みはいやされぬ
 神がつかわす使者のごとしよ
          野村節子