俳句・短歌 平成29年~30年の作品

平成29年
薫藤園ご利用者・ご家族、職員の俳句・短歌作品です。(順不同・敬称略)

平成30年の作品

新米の粥の真白に炊きあがる
呼びかけの声を惜しまず赤い羽根
音たがへ門のうちそと虫しぐれ
          柴崎 加代子

コンバイン刈り行く先へ赤とんぼ
荒縄で括り干したるずいきかな
          高鳥 洋子

朝顔の窓辺に咲かせ名画なり
時忘れ見入る花火に若返る
茗荷の子親元近く白い花
          長澤 利江
今日生くる命素直に吾亦紅
杜鵑草ひたすら歩む九十路
秋蝶の舞い来る庭にしばし佇む
          道給 㐂仙

新米と矢印の立つ曲がり角
母と子に敬老の日の招待状
大安にこだはる夫や大根蒔く
          今成 公江

豊作の小玉スイカの甘さかな
庭先に夜風待ち受く涼み台
朝顔の花数多し日記書く
          長瀬 三男
秋晴の風にをどりし濯物
今もなほ残る渡船場花芒
体温のめがねくもらす暑さかな
          蛭間 秀紅

大稲田下り電車に客疎ら
穂芒も釣りする人も茜色
糠床へそっとさしこみ秋茗荷
          野村 節子

ウクレレの奏でし曲にうっとりと
 若き日のころ蘇り来る

ウクレレとコントラバスのボランティア
 デイサービスへ歌の花咲き
          小磯 和歌子
童心へ返って狙ふ割箸射的
 特養ホールの祭りにぎわふ

昼食に皆さんいっしょのバイキング
 箸を持つ手も止まらぬ様子

介護職向上すべく研修会
 一人ひとりが福祉を胸に
          大塚 洋子
高齢に出会いし猛暑八十路にて
 痛く齢を自覚した日々

挿し菊の白き根張りたしかめて
 鉢におさめて咲く日待ちをり

朝夕の風の涼しさ頬に受け
 猛暑も忘れ自然の恵み
          野村 節子
色白の() の子の増えて柏餅
遠足の列古墳をのぼりゆく
御代りのおこげまたよし豆ごはん
          柴崎 加代子

とりどりの薔薇に狭庭を明るうす
五月来ぬ香煙流れ経を読む
遥かなる戦時の記憶麦の秋
          道給 㐂仙
藤の花池に写して跳ねる鯉
たんぽぽの石の割目に出てて咲く
頬寄せて梅の香に酔う昼下がり
          長澤利江

特養棟四方(よも) の青田の日々に濃し
吟行や薄暑の森に風の道
泥沼に() れて気高き蓮華(れんか) かな
          野村節子

大空に輝く家紋鯉幟
板前の声きびきびと初鰹
切り立ての供花に一筋くもの糸
          蛭間節子
風ふるる青き鎌あげ子かまきり
円墳の裾野にひらく古代蓮
蚊遣火を腰に一人の畑仕事
          高鳥洋子

まろやかな味の蕗煮の振る舞はれ
巣をねらふ鴉に向かふ親燕
麦藁の焼かれ古墳の里けぶる
          今成公江

誘い合ひ藻刈仕事の日曜日
平凡に生きて仕事の花見酒
大空を昇り行くかに鯉幟
          長瀬三男
ひこまごの入園式の便りあり
 笑顔の写真に心いえる

ふきを煮て季節の香りかみしめる
 今も昔も変らぬ味に

風光り小雀数羽舞いおりて
 風にひらひら白蝶の舞ふ
          小磯 和歌子
特養の中庭飾る藤の花
 香り広げて紫けぶる

白ぴんく藤の花咲く大天白の
 年々美し子育ての神

挿し菊の時を定めし挿し苗の
 白根はしかと土をつかみぬ
          野村節子
写真撮るお内裏様とお雛様
 少しはにかみ顔出しパネル

茶の中に舞い散る光花ふぶき
 思わず見上げさくら美し

職員のふとした一面現れる
 試行錯誤の誕生会よ
          大塚洋子

平成29年~30年の作品

初日の出坂東太郎の水面照り
ブランドの服のプードルお元日
夫の手を借りてましろく障子貼る
          柴崎 加代子

未知の道一歩踏み出す大旦
神物に感謝し仰ぐ初日の出
人日や幼と遊ぶ日ときめて
          㐂仙

武者絵凧抱へ風待つ親子かな
冬耕や浅間秩父嶺仰ぎ見て
訪れる人無きチャペル雪明り
          高鳥洋子
初日待つ土手の善男善女かな
年始客野菜貰って帰りけり
青空へかけ上がりゆく梯子乗
          今成公江
初夢や久方振りの父と母
ガス栓を確かめて寝る冬の夜
福袋目当ての客で賑はへり
          長瀬三男

白き富士花壇の手入れおこたらず
下校児の明るき声や草紅葉
凍てついて花苗日矢に立ち直る
          野村節子

中庭へ山茶花咲いて花あかり
水仙の香りも届く部屋飾る
特養のいつも楽しい新年会
          木村トミ
特養のみんな参加の運動会
北朝鮮世界さわがす年の暮
友に逢え笑顔の今日はかき初め日
          速水 浩

神女の舞と笛の音に
 子の白無垢すがたみ杜のあかりに浮かぶ

ラジオよりシューベルトの冬の曲流れき
 思わず涙こぼるゝ夕べ

雪どけの水は光りて利根の堰
 むさし水路の旅の初まり
          野村節子
秋ひっそりと冬の寒さに葉を寄せて
 万年青は春の息吹きをまてり

菊枯れて淋しき庭の落葉掃く
 あれこれと思うばかりや年暮るゝ
          小磯 和歌子

チビッコの笑顔溢れる交流会
 いつのまにやら気持ちも若く

ショッピング乙女のすがたで楽しんで
 優雅のランチに話が弾む

今月もいつも楽しみ誕生会
 話すあなたのバースデー
          大塚洋子