薫藤園ご利用者・ご家族、職員の俳句・短歌作品です。（順不同・敬称略）
平成22年秋～冬の作品
パノラマのごとき山並初御空 奈良漬に箸を休めて女正月 部活動終へて作りし雑煮かな
語ること多く残して寒椿 折れかけの心を照らす後の月 影もまた吹かれておりし赤蜻蛉
食堂の書初めみては気も新に 松飾り子供の頃がよみがえり 新玉の飾り手作り美しきもの
おみくじの吉のうれしき初詣 冬うらら遠嶺さえぎる雲もなく 日の落ちて違ふ寒さのおそい来る
あかつきの屋敷稲荷に初詣 切り貼りの花の真白き障子かな 湯たんぽや育ち盛りにけり出され
雪嶺の横たふ羽生の里に生れ いそいそと孫へ年玉幸として 職友と割ちて食むや冬いちご
老いし今特養棟の新年会 吾れも加わり背すじのばせり 新玉の地域の子等のお囃子の 笛や太鼓に夢もふくらむ
面会のとぎれぬ日和松の内 特養棟の琴の音の色 介護士の笑顔も誇り特養の おつかれさまと元日の朝 声あげて笑い声せし帰り行く 特養棟の介護士達よ
齢重ね満ち足りくらす吾が幸の 薫藤園の誕生会 今日もまた記憶のかけら逃げて行く 書き止めおこう退院日 認知の妻叱りし夜の長きもの 逞しかりし若き日思う
平成22年春～夏の作品
蝉の羽化はじまりて子の身じろがず 刈上げのいとほし母の髪洗ふ 金銀の贅を尽くして鳥威し
今年米まづは鎮守に備へられ 景品の山と積まれて秋祭
娘くる楽しみもあり秋彼岸 くつ下に人気うつりし足袋のまち
冬渡舟一人の客を送るなり 木犀の香り溢るる特養棟
食堂にひときわ目立ち秋ざくら
さるすべり百日紅面会多く笑ふ声 鳳仙花いつものところ紅の色
さくら葉のあか味噌したる校庭に 子等は健やかに喜々とたわむる 大利根の羽生の里に生受けて 大堰に入る夕日に向かう
つぶらなるひとみかがやく園児らの 歌や踊りに元気もらいぬ めぐり来る秋の訪れ施設にて 色づく稲穂窓よりのぞむ